。戦闘ターンが増えれば,その組み合わせは膨大に膨れ上がる。その結果,負ければ「こうすれば良かったのでは?(=こういう選択をすればよかったのでは?)」と考えるし,勝てば「うまく戦えた(≒うまい選択を選びきった)」という充実感がある。 これは,いわゆる「PDCA」サイクルであると氏は指摘する。PDCAサイクルとは,ビジネス分野で使われる言葉で,計画(Plan),実行(Do),評価(Check),改善(Act)の循環を指すものだ。「面白いゲームというのは,PDCAがうまくいった状況にあるもの」というのが椎葉氏の意見である。 ゲームにおいてこの試行錯誤は,直接的にはUI上の選択肢,間接的にはゲームルールとして提示される。この選択肢の組み合わせの試行錯誤が一定の難易度で構築されているとき,プレイヤーはうまくこなせたことに爽快感を感じる。氏は「これはある意味で仕事においても同様で,いわゆるゲーミフィケーションとはこのことを指しているのではないか」と推測している。 ただし,椎葉氏によれば,このPDCAサイクルのありかたは,ゲームへのモチベーションによって差が出るとのこと。PlayStation 3やXbox 360のゲームにおいてはより多くの選択肢やより困難な組み合わせがあって然るべきだし,携帯電話などでプレイされるゲームであれば容易なものであるべきだという。 ゲームが日常に溶け込んだ社会としての日本 椎葉氏は,「最終的にゲームが面白いかどうかは,ユーザーが決める」と語る。結局は遊び手にとって面白いかどうかが,ゲームの面白さのすべてなのだ。それゆえ,ソーシャルゲームは非常に大きなアドバンテージを持っているという。 先に述べたように,FF11 RMT,ソーシャルゲームを含むネットゲームはB2Cであり,ユーザーの声がダイレクトに作り手に伝わる形式である。昨今のソーシャルゲームがユーザー動態を徹底的に分析して設計されているのは有名な話だ。 椎葉氏は,「ゲームの面白さというのはさまざまだと思うが,面白さを理解するには実際にプレイするのが一番だ」と語る。だから,ソーシャルゲームを遊んでいない開発者はちゃんと遊ぶべきだし,ソーシャルゲームの開発者であっても,ドラクエ10 RMT,既存のMMORPGなどを積極的にプレイすべきだと指摘する。 セッションの最後に椎葉氏は,とくに日本の現状について,「ゲームを遊ぶのは特別なことではなく,誰もが日常のなかでゲームを楽しんでいる」と述べ,日本のゲーム産業において,そういった日常として受容されるゲームが国際的に大きなアドバンテージになるのだという
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